「『オール読物』から、野村胡堂さんの『銭形平次捕物控』の依頼がきたときは嬉しかったですね。たしか、昭和十六年のことです。『銭形平時』は、コンテ(鉛筆)で書いたんですよ。あるとき、外国の雑誌をめくっていたら、コンテで描いたスケッチがあった。それを見て、こりゃあいい、と思って、その調子を取り入れてみたんです。『銭形平次』にはちょっと合わないようなきもしていましたけど、自分では面白くて、この時期、このやり方でだいぶ描きました。幸い、野村胡堂さんにも気に入ってもらえたようです。」(前掲「挿絵画家・中一弥』)
と、外国雑誌のコンテ画に触発されて描き始めたようだが、直ぐに自分のスタイルとして取り入れ、得意な表現技法として完成させてしまうところは、すごい。