今までは、新聞小説の部分だけを切り抜いたスクラップ帖などを集めていたが、新聞小説の挿絵を集めるなら、新聞の縮刷版を入手すればいいのではないかと思い立ち、早速数冊購入してみた。今回入手した「東京朝日新聞縮刷版第94号」(昭和2年4月号)には、挿絵:小田富彌、木村毅「島原美少年録」第42回〜67回と、挿絵:伊東深水、武者小路実篤「母と子」第39回〜67回が掲載されていた。



挿絵:小田富彌、木村毅「島原美少年録」



挿絵:小田富彌、木村毅「島原美少年録」



挿絵:小田富彌、木村毅「島原美少年録」


新聞縮刷版の多くは1年分とか数十年分とかで販売されていることが多く、高いものでは数百万円の値がついているので、驚かされる。今回のように1ヶ月分(1冊)を入手できるのはむしろ稀な例だ。新聞小説がどの新聞の何月何日から始まって、何時終ったのかというデータは手元にあるので、どの新聞を購入すれば良いのかは判っているのだが、なかなか分冊で購入することが出来ないのが悩みの種だ。


今回は25回分の新聞小説を手に入れることが出来たことになるが、新聞小説だけではなく、この頃は映画の第一次黄金期といわれているので、キネマ文字をふんだんに使った新聞広告が毎週毎週、紙面一面に掲載されている。
 まるでキネマ文字の見本帳のように見事な手描きの文字が、毎日のように紙面に登場していた贅沢な感じがする時代だ。見ているだけでワクワクしてきて嬉しくなってくる。これはかなり資料性が高い。



キネマ文字をふんだんに使った新聞広告


さらに、昭和2年といえば、円本全集ブームで、そんなブームを裏付けるかのように、円本の全面広告や2ページ見開き広告がたくさん掲載されている。「千頁壱円」の見出しが嬉しい歴史の証人ともいえる貴重な資料で、この1冊は私にとってはかなりのお宝となった。これで購入価格は3000円。「安い、安い、安〜い」猿の目から涙。



円本の全面広告