武蔵野美術大学資料図書館(小平市小川町1-736)で開催されている、描き文字装丁家として知られる田村義也の装丁展「背文字が呼んでいる」を観てきた。前期2008年8月4日〜23日、後期2008年9月8日〜20日。休刊日=日曜日。入場料無料、(撮影は禁止だが、今回は特別に許可を頂き撮影してきた。盗撮ではありません)


個人の装丁展としては、私が知る限りでは最大規模の展示会だ。総数1600点だったとおもう。壁面には本棚の映像が映し出され、一点ずつ取り出して、装丁の画像を見せてくれる。


デジタル化されてしまった今では殆ど観られなくなってしまった版下や下絵、校正刷りなども展示されており、チョット懐かしい。それだけではなく田村の思考過程や創作工程の一端に触れることも出来る。


年代順に並べてくれていたら、田村がまだ清刷や写植などを使っていた頃で、あまりデザインのことなど考えていなかったであろう頃のことや、田村自身が失敗作ではないかと思っている描き文字を使い始めた頃の不安ながらも冒険した作品のことなどが、もっと良く見えてくるように思う。


それは田村のデザインを理解する上では、とても大切なことで、年代順に並べることで勢いのあった頃の力で押し切るようなむちゃな作品のことも、ぜいたくな印刷術や資材をふんだんに使っていること、さらに晩年の作品の事なども年齢や社会的地位を考えながら視覚的に読み取れるものとおもう。