折角購入した東京朝日新聞縮刷版なので、もう少し眺めてみよう。昭和初期に1冊1円の全集が爆発的に売れて、全集の大ブームを作った。その火付け役になったのが、改造社が刊行した『現代日本文学全集』で、これはその新聞広告だ。その後、続々と刊行された全集も新聞紙面を使った広告を打ち、派手な広告合戦が展開され、出版史上をにぎわした。


1926年に改造社が募集した『現代日本文学全集』(63巻,菊判)は,約23万セットという予約をとった。新潮社の『世界文学全集』の第1回配本である『レ=ミゼラブル』は50万部を超えたという。平凡社刊行の『現代大衆文学全集』は25万部の予約を獲得した。江戸川乱歩の「パノラマ島綺譚」は完本としての初版はこの平凡社の大衆文学全集に収録されている。吉川英治の「南国 太平記」や土師清二の「砂絵呪縛」もまたこの全集収録が初版でした。


その他、おもなものをあげてみると春陽堂『現代大衆文学全集』(60 巻),平凡社『近代劇全集』(36巻),春秋社『世界大思想全集』(126巻),誠文堂『大日本百科全集』(42巻),吉川弘文館『日本随筆大成』(43 巻),改造社『経済学全集』(64巻),日本評論社『現代法学全集』(39巻)など,一説によると200種類以上の全集が現れたという。円本全集には1冊につき,通常の単行本の3冊分くらいの原稿が収録されていた。



東京朝日新聞昭和2年4月18日



東京朝日新聞昭和2年4月14日