以前から、小田富彌は間違って丹下左膳の右手を掻いてしまった、ということは知っていたが、やっとその絵を探し当てた。

小田富彌は「左膳が布団をかぶって寝てる絵です。あれを描いた時は、仰山抗議の手紙が来ましたよ。五百何十と来た。よく見て下さい。丹下左膳に腕が二本。うっかりしとったんですな。読者はよう見てますよ。」(『名作挿絵全集2』平凡社、1980年)と、当時を思い出している。


枕の影に指が3本見えている。



さし絵:小田富彌、林不忘丹下左膳