林不忘『丹下左膳(一)』(光文社時代小説文庫、2004年)を入手



林不忘丹下左膳(一)』(光文社時代小説文庫、2004年)、挿絵:志村立美、装丁:盛川和洋


なぜ表紙にこの気抜けしたような左膳の絵を選んだのか、「ガッカリだよ〜!」(桜塚やっ君風に)オカマ座りのような左膳を描いたのは志村立美。美人画で知られる志村の絵は男を描いてもどどことなく女っぽいところがある。


丹下左膳』愛読者としては、出来ることなら、本文中の挿絵にも小田富彌が新聞小説の挿絵として描いた絵を使って欲しかったな。


林不忘が銭湯へ行った時にも「矢鱈に斬りまくる…競争新聞を驚かせる…大衆をあっといはせる…」ことばかり考へて家に帰る時は着物だけひっかけていた、というほどに考えた新聞小説を単行本にしたのだから、もう少し躍動感とか衝撃度とかがあったほうがいいのではないかと思う。チャンバラもんですよ。内容わかって装丁しているのかな?


本文中にも志村立美の挿絵がたくさん入っている。復刻する時に何を底本(復刻するにあたり、よりどころとした本)としたのかということが気になるので調べてみたがどこにも記載がない。たとえ著作権が切れていても、やはり書誌データは必要だと思いますがいかがでしょうか?


挿絵は、林不忘丹下左膳第一巻』(寶雲舎、昭和23年)のものと同じだが、線がシャープなので、もしかして、挿絵は原画から取り込んだものかも知れない。



光文社時代小説文庫


光文社時代小説文庫



寶雲舎版


寶雲舎版


いろいろ注文はありますが、とにかく文庫本に挿絵が入っているのはうれしいですね。著作権が切れた小説を復刻する場合は、新聞掲載時の挿絵などを入れてくれる位の読者サービスをしてくれてもいいですよね。