実業之日本社『日本少年』に移った華宵は、大正14年新年号の表紙絵を描き、さらに後年の国文学者池田亀鑑(芙蓉)「馬賊の唄」の挿絵を担当。『婦人世界』には「文芸名作絵画」、『少女画報』には福田正夫『華麗の鞭』『破れ胡蝶」、『主婦の友』に「九条武子夫人・無優華の聖女」と「吉屋信子「一つの貞操」「暴風雨の薔薇」、朝日新聞には三宅やす子「奔流」、時事新報には「晴夜」などなど、関東大震災で打撃を受けた出版社が活気を取り戻す中、人気挿絵画家の争奪戦がくりひろげられ、華宵は多忙を極める。



挿絵:高畠華宵馬賊の唄』(『日本少年』実業の日本社、大正14年)、『名作挿絵全集3』より転載。