なかなか見つからなかった桜井均が春江堂に務めていた頃に編集した本を入手した


桜井書店やそれの台所を支えた大同出版の話を「本の手帳」第2号(本の手帳社、2007年、1000円+税)、第3号(本の手帳社、2008年、1000円+税)に連載しましたが、その時には、社主・桜井均が桜井書店を設立する前に編集を学んだという春江堂での仕事ぶりについての資料はなかなか見つけることが出来なかった。




先日、「古書通信」に顔を出したら、樽見さんが、春江堂で桜井が編集した冊子があるんだけど、と声をかけてくれた。桜井均編集「新作小唄」第八編(春江堂出版、大正13年)がその本。格安で譲ってもらった。ほかに第一編、第二編もセットだったが、桜井が担当したのは第八編だけだった。装丁家の名前は判らない。



第一編の扉絵に落款があるが、これは「ちんろう」とよめるが、誰の落款なのかは判らない。おそらく表紙の絵も同一人物が描いたものと思われる。






赤本屋などとさげすまれていたため、桜井も家族もはあまり春江堂時代について多くを語りたがらないようで、桜井の自伝や娘や息子が書いた伝記にもあまり触れられていない。大同出版についても同様だ。しかしこの本はそんなひどい本ではないように思える。今で言う演歌の楽譜のようなものだ。