これもチョウ有名挿絵家の落款だが、名前の活字記載がないので、いまのところ確証ができない。挿繪は直木三十五『本朝野士縁起』(『大衆文学全集』第8巻、平凡社、昭和6年)に掲載されていたものだ。


1929年、直木三十五『本朝野士縁起』(「名古屋新聞」昭和4年)でデビュー以来、吉川英治江戸城心中』(「河北新報昭和5年)、『銭形平次捕物控』『夢介千両みやげ』『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』をはじめとする数々の時代小説の名作に挿絵を描きつづけてきた現役最長老の絵師。


そう、97歳現役のさし絵画家・中一弥(なか かずや、1911年 - )の落款だと思われる。
中一弥『挿絵画家・中一弥』(集英社新書、2003年)に『本朝野士縁起』の挿絵とこの落款が掲載されているのでまちがいない。