『ビアズレイの芸術と系譜』

最近、ボケが始まってしまったのかよく同じ本を購入してしまう。関川左木夫『ビアズレイの芸術と系譜』(東出版、昭和51年)は函入り並製本だが、これと同じ本の再版が昭和55年には函がなくなり、ジャケット(カバー)付きになって発行された。再版と書いてあるが、これは2刷のことで、内容的には全く同じものだ。これだけ装丁を変えてあるのだから、内容も少し変わっているのだろうという期待も込めて購入した。

私の不注意ということもあるのだが、中身が同じで装丁が代わるときは、どこかにその旨を記載して欲しいものだ。最も版元としては、こうして2冊購入することを期待しているのかも知れない……なんて、げすの勘ぐりを入れたくなる。この2冊だけならまだしも、ビアズレイが日本の装丁に与えた影響を調べていた頃は、ビアズレイの本なら手当たり次第に購入していて、関川左木夫『ビアズレイと日本の装幀画家立ち』(阿部出版、1983年初版)もそんな最中に購入したものだ。

これこそは、私が出逢いを待っていたドンピシャリの本だ、とばかりのタイトル買いした。が、読み進むうちになんかかつて読んだような気がしてきた。7年間の間に新たに分ったことがあり少し書き直しているが、基本的な内容は殆ど同じだ。一つの原稿で3度美味しいグリコのキャラメルのような本はこの本だけでなく、これまでに何度も手にしている。懲りずに同じ過ちを犯すほうが悪いのかな。同一著者の本を購入するときは要注意ですね。


かといって、この本を3度も購入するほどだから、気に入っていないわけではない。購入するたびに完読するほど気に入っている。つまり、一度読んだだけではほとんど頭に入っていないということですね。ヘタな読書は読まぬに似たり、ということですね。

どこにそんなに魅かれたのかというと、日本の装丁に見られるビアズレイの影響と思われる所を取り上げ、湛然に調査、説明しているところがいい。なるほど!と感心したり、そうかな?と疑問を持ったりしているうちに、あっという間にう読み終わる。


私も自分で資料を集めてアールヌーボーの装丁への影響を調査してみたくなり、早速古書市でそれらしい本を購入してみた。黒沢武之輔装丁、青芳勝幸『ネロ』(厚生閣書店、大正13年)がその本。



絵柄は何となくアールヌーボー風なのは分るが、黒沢武之輔という装丁家は全く知らないし、描かれている絵の元絵があるのかどうかも分らない。ナンとか手がかりをつかんで、いつの日にか発表します。あざみの絵も手がかりになりそうですね。