佐藤春夫『みだれ髪を読む』を読む

shinju-oonuki2006-10-13

『みだれ髪』への傾倒は、その後もとどまるところを知らず、今度は佐藤春夫『みだれ髪を読む』(講談社昭和36年7月2刷)装丁:熊谷守一を読みはじめた。


「『みだれ髪』の成立と上梓経過」を読んでみたが、私が期待しているような話は書かれていなかった。佐藤春夫もこれでは申し訳ないとでも思っていたのか、「この集の成立及び上梓とその後日譚とも云うべきものを取扱った拙作『晶子曼荼羅』の一読を煩わしたい」といっているので、早速ネット検索をかけてみた。


丁度そんな作業をしているところに、印刷学会出版部の上田宙さんが、拙書『製本探索』の増刷の契約の話をもって訪ねてきた。『みだれ髪』の話など雑談をしているうちに、本棚から「晶子曼荼羅」という新聞の切り抜きをスクラップしたものを見つけ出してきて、「これなんですか?」とさし出してくれた。「おっ!何これ、」「『晶子曼荼羅』の初出ですよ!初出でよめるんですよ。」と、所有者である私が忘れていたスクラップをタイミング良く見つけ出してくれた。


この黄ばんだ酸性紙を思わせる切り抜きは読んでいるうちに、ぼろぼろになりそうなのでコピーしてから読もうと思ったが、今度は、素人の手になる製本されていて、ばらす事が出来ない。そんなこんなでネット検索の続きを再度やりはじめ、新書版にまとまって発行されたものを見つけ購入した。