2009-11-17から1日間の記事一覧

さて、それでは、挿絵の女性とは誰なのか? この絵に描かれている女性については、さまざまな意見が交わされているが、私は見たままの素直な感想として、まだまだ日本髪が中心だったと思われる明治の女性の髪形には見えず、西洋の絵などを参考にしたものではないかと思ったのが第一印象である。

鳳昌子『みだれ髪』には、「みだれ髪」という語が登場する句は、29、56,90,260の4首につかわれているだけ(【与謝野晶子『みだれ髪』の「みだれ髪」】岡山大学大学院文化科学研究科紀要第十六号)であり、夫でもある鉄幹の『紫』には、晶子を「乱れ髪の君…

明治20年代には四六判・並製本の『夏木立』などが格安で販売されたが、明治30年代に入ると、更にコンパクトになった三六判という小さな判型で与謝野晶子作の処女歌集である藤島武二:装丁、鳳昌子『みだれ髪』(伊藤文友館、明治34年)などが刊行される。

三六判とは、四六判全紙を40折りか44折りにした大きさを基準にしており、ほぼ縦18cm×横9cm。縦横の比率は2対1の縦長長方形。縦約18.2cm×横約12.8cm(出版社によって多少異なる)の四六判に比べ小振りで、携帯して音読する、という当時の句集を読書するスタイ…