恩地には珍しい構成の表紙といえるだろう

表紙の模様は遠目には、スギナのように見えるが、何をモチーフにしたのかわからない。タンポポの種のように見える部分は鉄紺を、バックの蔭のような部分には利休茶のような色を使っている。背のタイトル部分はさらにもう一色カキ色を使い、鉄紺のベタとカキ色のベタを重ね合わせ焦げ茶色を作りだし、題字をカキ色で抜いている。一見無造作に千代紙の模様のようにモチーフを配しているが、恩地の戦前の装丁で、このような構成は珍しい。