あの幾何学的な装丁はどこへ

shinju-oonuki2006-04-07

恩地は版画でも、抽象的な作品を作ったり、具象的な作品をつくったりと、まるで時計の振り子のように行ったり来りを繰り返していた。恩地にとって、そうすることが美意識を醗酵させるのに適した方法だったのだろう。渋沢秀雄『あまから人生』(創元社、昭和27年11月初版)は、有機的な曲線を使っており、戦前にカンディンスキーの絵のような幾何学的な形態を使った抽象版画とはまた別な感じであるが、やはりこれも抽象画というのであろう。
 
表紙もジャケットンも3色刷り。表紙のほつれ糸のような模様は、本物の糸を使ったものだろうか、カーブの感じが自然な曲線を描いている。糸に墨を付けて、模様を描き、それを版画のように刷り取ったのか? オレンジ版と紺色版を別々に作り重ね刷りしている。
 
このようなあまり見慣れない装丁は、極端に嫌われたり、逆に猛烈に好まれたりすることが多い。新しいものは、えてして嫌われがちであり、新しさを好むのは常にホンの一握りのモードをリードする人達だけである。しかし、数年も経過するとそれが普通に迎えられることが多い。かつてビートルズが日本に上陸したときがそうだったように。ビートルズは今では音楽の教科書にも載っている。

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