杉皮装

shinju-oonuki2005-08-11

知人の境田稔信さんが、古書市で「日本書房に杉皮の本があるの知ってる?」と教えてくれた。私は、直ぐに古書市を後にして、日本書房に向かいこの本を入手した。
 
おそらくこのような装丁は2度と出てこないだろうと思われるのが、吉井勇『わびずみの記』(政経書院、昭和11年)。いったいだれがこんな資材を選択したのがろうか。杉皮に押した焼き印が杉皮の表紙に見事にマッチしている。私にとっては、もちろん最高ランキングの大好きな装丁「添い寝本」である。元来私は、著者自装には反対であるが、著者のわがままで作られた造本だとすれば、著者自装に感謝しなければならない。権限を持っている装丁の素人が、強権発動でもしなければこのような本が誕生することは考えられないから。