2009-10-06から1日間の記事一覧

齋藤昌三七部作の中からゲテ本として、強い特徴のある本を5冊選んで紹介しよう。

❶『書痴の散歩』 『書痴の散歩』(書物展望社、昭和7年11月) この本は昌三の最初の随筆集であり、書物展望社のゲテ本としては、『恭古随筆』『魯庵随筆紙魚繁昌記』『魯庵随筆読書放浪』に続く、第4番目の廃物利用の装丁になる。思い入れがあるようで、この…

「ゲテ本って一体何?」。河原淳「愛書家のための変態辞典」(『別冊太陽─本の美』平凡社、1986年)から解説を引用してみると、「げてそうほん【げて装本】上手物ではない、巧まずして面白いブックデザイン。昭和六年刊の酒井潔『日本歓楽郷案内』は、見返しにセピア色の女の写真が貼ってあり、雁だれ表紙に窓があき、のぞける仕掛けになっている。昭和五年夏に平凡社が、発行した『風俗雑誌』は、表紙の女に蚊帳様の網がかぶせてある。」

とある。 1部だけでもゲテ本と呼ぶのか、一体いつごろからこの言葉が使われ、いつごろからゲテ本があったのか、などなど説明不足で疑問の残る解説だが、要は「奇をてらった装丁」と言うような意味なのだろう。 ゲテ本の本家本元の齊藤昌三自身は 「常道に外…