ゲテ装本の名付け親は柳田国男

 
「大量複製の時代にあえて希少価値のものを作ることで対抗するこうした限定本出版は、『少雨荘書物随筆集』として出た自著『書痴の散歩』ではさらに廃物利用を徹底して、古い番傘を外装に用いるまでいたる。やはり読書家である柳田國男はこれを評して『下手装本(げてそうほん)」と呼んだらしいが、齋藤はその評言をかえって喜んだ。その後も、書物展望社版として優れた書物の刊行に励む一方、特異な限定本を作りつづけ、みずから『げて装本の話』(一九四三)年と題したエッセー集まで出している。」と、齋藤の輪郭が見えてきてが大分身近な人になってきた。
 
書影は、番傘を使った齋藤昌三『書痴の散歩』(書物展望社昭和7年