2009-10-14から1日間の記事一覧

もう一人のゲテ造本製本家内藤政勝。『ゲテ雑誌の話』、『日本好色燐票史』など、書物展望社以外で刊行された齊藤昌三のゲテ本の多くは内藤が担当した。

自著を製本する『造本小僧』(水曜荘限定版刊行会、昭和28年8月31日)、第三の紙ユーパールを使用若山八十氏『魔法の鳥』(書物展望社、昭41年)等の内藤の仕事ぶりをみてみよう。 内藤政勝:造本、内藤政勝『造本小僧』水曜荘限定版刊行会、昭和28年8月 内…

彼の関係した一世一代は実にこの『華族画報』であつたが、予が彼を話せる男と知つたのは漱石の『猫』(『吾輩ハ猫デアル』)の縮刷版を、彼が手がけたことがあると知つてからである。

彼も勿論一般製本所として円本もやれば、大量物にも応じてゐたが、一度『書痴の散歩』の下手ものに手をつけてからは、全く予の趣味に共鳴して了ひ、それ以来他から の註文も余り喜ばなくなつて、こちらの出版はつきに一度出たり出なかつたりの道楽的のやり方…

ゲテ造本の女房役・製本家中村重義について書かれた文献は少ない。そんな中、齊藤昌三が、「書物展望」(昭和9年12月号)に「少雨荘の背景」として書いたものがあるので、転載させてもらおう。

「よきにもあれ、あしきにもあれ、自分の装釘界に対して試みた趣味が近年の斯界(しかい)に多少の刺戟を与へたといふことは愉快である。或る人は予輩のの趣味を発揮し過ぎたともいひ、奇に走り過ぎたとも評してゐるといふが、幸か不幸か内容を殺すようなこ…