2005-07-28から1日間の記事一覧

お許しください

紅野謙介さんへ、こんなにたくさん引用してしまい申し訳ありません。論文のための引用ではありませんが、悪意があっての引用ではありませんので、何とぞ寛容にお願い申し上げます。

ゲテ装本の名付け親は柳田国男

「大量複製の時代にあえて希少価値のものを作ることで対抗するこうした限定本出版は、『少雨荘書物随筆集』として出た自著『書痴の散歩』ではさらに廃物利用を徹底して、古い番傘を外装に用いるまでいたる。やはり読書家である柳田國男はこれを評して『下手…

ゲテ本刊行

「『円本』は、家庭に常設された『文学図書館』として、文学を市民の日常に近づけ、同時にまた、多額の印税を作家たちに手渡すなど、文学の社会的な地位向上に役立った。しかし、反面、同じ時期に刊行される『文庫本』とともに、均一の装丁・造本による書物…

『書物展望』

「本の雑誌としてはその後これを超えるもののない雑誌『書物展望』は、一九三一(昭和六)年七月に創刊された。当初、岩本柯青(和三郎)、庄司浅水、柳田泉らとの同人制で発足したが、やがて岩本、齋藤のふたりで発行元の書物展望社を経営するようになり、…

『書物往来』『愛書趣味』『書物展望』

「齋藤昌三はもともと在野の書物愛好家であった。趣味の雑誌を発行しているうちに、明治の書物に関する愛着と知見がふえ、震災後の機運が彼を明治文化研究に向かわしめた。一九二五(大正十四)年、齋藤はやはり書物愛好家として知られる石川巌、神代種亮、…

大貫伸樹の続装丁探索(齋藤昌三『書物展望』)19

紅野謙介「齋藤昌三 書物への飽くなき愛情ゆえに……」(「朝日新聞社編『メディア社会の旗手たち』朝日新聞社、1995年)に書かれた齋藤昌三像も見てみよう。長くなるが、転載させてもらう。