【西東京の植物絵手紙(66)…西東京市保谷町でヘクソカズラの花に出会った!】

西東京の植物絵手紙(66)…西東京市保谷町でヘクソカズラの花に出会った!】
 ヘクソカズラは日本全国のやぶ、草むらなど日当たりの良い場所にごく普通に生育する、つる性の多年草です。西東京市市内でも公園や人家の庭など、ちょっとした緑地のフェンスや植木にも絡みついて生育しているのを見かけます。
 葉や茎を傷つけると強い悪臭がありますが、これは細胞が壊れた際に発生するメタンチオール(メチルメルカプタン)という人間のオナラと同じ化学成分のためです。虫が葉や茎をかじると細胞が壊れてメルカプタンが発生し、虫がビックリすることで虫の食害を防いでいるんですね。
 花は長さ約1cmの釣り鐘型をしており、花冠の先は平開して浅く5裂しています。花冠外面は細かい毛が密生して灰白色、平開した「のど」の部分から筒状になった花冠内部にかけては紅紫色で腺毛が密生しています。
  ヘクソカズラの名前の由来は、万葉のころからの呼び名で、全草に異臭があることから、糞(くそ)カズラと名付け、さらに、その上に屁(へ)の字をつけて、最悪臭を漂わせるような印象を与える屁糞蔓(へくそかずら)の名前が誕生したようです。漢字で書くと余計にひどさが増しますね。
  ネットに「“ヘ”クソカズラ」の命名者を牧野富太郎博士(1862年生)と紹介しているウェブサイトを見受けますが、牧野が生まれるより以前の1847年発行された「重訂本草綱目啓蒙」に既に「ヘクソカヅラ」の名がありますので、牧野説は間違いです。
 花の中央が赤く、お灸(やいと)の跡に良く似ていることから、ヤイトバナ(灸花)という別名や、美しい花の姿からサオトメバナ(早乙女花)という別名もありますが、ヘクソカズラという名前が定着しているということは、インパクトがあるこの名前を多くの人が気に入って楽しんでいるのかもしれませんね。
 ヘクソカズラ花言葉は「人嫌い」「誤解を解きたい」「意外性のある」です。「人嫌い」はヘクソカズラの臭いに由来しているのでしょう。ちぎると臭いにおいを発して、「寄らないで!」と言っているように感じたのかもしれませんね。「誤解を解きたい」「意外性のある」はヘクソカズラの花が縁がフリルのようで可愛らしいことに由来しているのだと思います。
 枯れて黄土色になった実には光沢があり美しく、嫌われる原因の悪臭は乾燥すると無くなるため、リースなどに利用される。
 
・絵手紙=「なんという名をつけたんだ…こんな可憐で清楚な花なのに」(ヘクソカズラの花)

 
西東京市保谷町5丁目 で2023.8.8に撮影したヘクソカズラの花。

西東京市南町1丁目で2023.8.17に撮影。

 
西東京市中町5丁目で2022.9.29に撮影。

 

 

西東京市保谷町5丁目にて2023.8.28に撮影したヘクソカズラ