手書きタイトルの本

【本棚からひとつかみ】…手書きタイトルの本

 今日はブックオフ・田無店の108〜200円コーナーの棚から、手書きタイトルの本を探してひとつかみ購入。


 ▶︎写真左、装幀:重原隆、装画・題字:井筒啓之新堂冬樹『僕の行く道』(双葉社、2005年)の題字が気になった。描き方はいろいろ考えられるが、普通は、スミ(黒)で書いて、パソコンに取り込み、別に作った色の画像を文字の部分に当てはめる。しかし、この文字をルーペ(拡大レンズ)でみてみると、基本の文字色・紫と、赤や青や緑の色がわずかに元の色とずれている。ということは、紫で書いた細い文字の上に、さらに色をのせて書いたのかな、と推察するが、どんなもんでしょうか?

 ▶︎写真中、装丁:平野甲賀、装画:村上豊津本陽『龍馬』(角川書店、平成13年)は、最強タック結成というような見出しがつきそうな大物同士が手を組んだ装丁だ。平野甲賀は現役の手書き文字では第一人者といってよいだろうし、時代小説の挿絵や絵本で活躍する村上豊も特に装丁家と組まなくともいいのでは、と思わせるほどたくさんの装丁を手がけている。黒いタイトル文字は、銀泊を熱すると黒くなるあの色を模した黒泊を使って、咸臨丸や黒船を思い起こさせる。もしかしてこの本は改装版? さらなる売れ行き向上を願って新装版のための最強コンビを組んだのだろうか。手元の本は初版なので売れ行きを探ることができないのがざんね〜ん。

▶︎写真右、坂川栄治:装幀、水上多摩江:装画(題字共)、角田光代『八日目の蝉』(中央公論社、2009年16版)、2007年初版から2年で16版はさすが。著者の知名度もさることながら坂川栄治+水上多摩江の装幀も後押ししているはず、と評価してもらいたい。前回紹介した『金色の魚』もこの二人の共作だが、この本のタイトルもイラストもしびれるね、肩の力の抜け具合がたまらないんだよね。帯には「堂々10万部突破のノンストップ・サスペンス」とある。強烈な内容とはうらはらに、押しの弱い抑えぎみの表現はなかなか難しい。