1冊1円の本

【1冊1円の本】
 こんな本が1冊1円(+送料257円)で購入できるので、最近はもっぱらアマゾンで購入している。送料だけでも1,574円もかかっているので、古書市や古書モールの100均の方が安いじゃないか、とおっしゃる御仁もいらっしゃると思いますが、おっしゃる通り。でも、時間がかかることや交通費がかかることを勘案すれば一概にどちらがいいとは言えないかも知れませんが、わたしは、検索するだけで欲しい本が見つかるネットで購入することが多くなった。



 写真上段、左から
・早川良雄:装丁、足立巻一『親友記』(新潮社、1984年)
・芹沢?介:装丁、丹羽文雄『古里の寺』(講談社、昭和46年)
粟津潔:装丁、丸岡秀子田村俊子とわたし』(ドメス出版、1977年)

早川良雄(1917〜2009年)は、昭和期の日本を代表するグラフィックデザイナー。「それぞれに違う色彩と描かれ方の違うパーツからなる『女の顔』シリーズや、独特の形態、配置から構成されるポスター作品などが特徴とされる。」( ウィキペディア)。
 あわい色調の装画が好きで本を集め始めたがなかなか見つからず、今回やっと手に入れることができた。


 芹沢硑介(1895〜1984年)は、染色工芸家でありながらたくさんの彩りの美しい装丁を手がけている。型紙を使った文字にも特徴があり、『古里の寺』のタイトルも芹沢特有の型紙を使った文字が使われているのが嬉しい本だ。


 粟津 潔(1929〜2009年)は、ハンコを使った絵や虹のような線を使った絵で知られるグラフィックデザイナー。数少ない手書き文字のタイトルの本なので、つい購入。

写真下段、左から
・関野準一郎:装丁、井上靖『欅の木』(集英社昭和6年
中川一政:装丁、耕治人『そうかもしれない』(講談社、1988年)
田村義也:装丁、大葉みな子『霧の旅』(講談社、1980年)


 関野準一郎( 1914〜1988年)は、恩地孝四郎に師事棟方志功の教えを受けた昭和期の木版画家。装丁はあまりたくさんないが、木版画を使った装丁は格調があっていい。『欅の木』は数少ない装丁の中でも特に気に入っている。


 中川 一政(1893〜1991年)は、洋画家、美術家、歌人、随筆家であり、 都新聞に連載された尾崎士郎「人生劇場」などで知られている。独特の手書き文字と味わい深い装画を組み合わせた装丁を手がけている。『そうかもしれない』はそんな中川の装丁の特徴をよく表している。


 田村義也(1923〜 2003年)は、『世界』『文学』などの編集長をつとめた。書籍の装幀も手がけ、独特の手書きの文字と風合いを持つ特徴的な装丁で知られる。『霧の旅』は、いつもの田村らしい押しの強さがなく、好きな装丁だ。