昭和戦前に「日曜報知」(昭和5年創刊)紙上で活躍した二人の画家・小野佐世男と小村雪岱の展覧会が、平成になって同時に開催され、その図録が今日一緒に手元に届いた。

 1冊は、なんと、昨夜10時にネット通販に注文した「モガ・オン・パレード 小野佐世男とその時代」展の図録が朝9時に届いた。川崎市岡本太郎美術館で開催中の展覧会だが、体調のいい日に何とか足を運びたいと思っているが、アクセスが悪いので行けるかどうか迷い、せめて図録でもと思っての購入だ。密度のある図録はいずれ役に立ちそうだ。小野は、昭和初期から戦後にかけて『東京パック』や『日曜報知』等で活躍し、細木原青起や田中比左良等と並んで好きな風刺漫画家の一人だ。

「モガ・オン・パレード 小野佐世男とその時代」展図録(川崎市岡本太郎美術館、2012年)



 2冊目は、ブログを1ヶ月休みますと書いたのをみたらしく、ルリュール(手製本)の師匠・えり先生と埼玉在住 の女流詩人・田口さんからお見舞いが届いた。その中にニューオータニ美術館で開催されていた『小村雪岱展』図録が入っていた。掲載写真が多く資料生の高い図録では眺めるだけでも楽しい。丁度入院期間と重なり観覧を断念した展覧会だったのでとても嬉しかった。
 雪岱は、大正3年(1914年)、泉鏡花の『日本橋』の装幀を手始めに、以後鏑木清方と並び多くの鏡花作品の装丁を木版多色摺りによる見事な装丁を残した。大正11年(1922年)には里見紝の『多情仏心』の挿絵も手掛け、昭和8年(1933年)には、挿絵の代表作となった邦枝完二作の『おせん』、翌昭和9年(1934年)の『お伝地獄』など数々の作品を発表するなど、新聞雑誌の挿絵においても活躍して大きな足跡をのこしている。

小村雪岱展』図録(ニューオータニ美術館、2012年)


 この小野と雪岱が同時に活躍していた32〜40頁の薄っぺらな雑誌がある。昭和5年に創刊した「日曜報知」がその雑誌だ。古書市では200〜500円で入手できるので手元には沢山ある。偶然だが、この二人の展覧会が平成になって同時に開催されて、その図録が今日同時に手元に届いたのだ。

「日曜報知」第117号、昭和7年8月(左)、第198号(昭和9年8月(右)



小野佐世男:画「残暑」(「日曜報知」第117号、昭和7年8月)



小野佐世男:画「情緒は移る」(「日曜報知」第198号、昭和9年6月)



小村雪岱:画、子母沢寛「鉄火江戸侍」(「日曜報知」第198号、昭和9年6月)



小村雪岱:画、白井喬二「斬るな剣」(「日曜報知」第117号、昭和7年8月)