ksさんからのコメントで、池田蕉園の落款(サイン)が なぜ「百合」なのかを解明することが出来ました。「いつも楽しく拝見しております。ところで、蕉園=百合ですが、池田輝方と入籍前の蕉園の本名は榊原百合でありました。ご参考まで。」

ありがとうございます。


主人公「間貫一」を描いたのは中沢弘光。登場人物の紹介をこんなに豪華な版画家たちの絵で華やかに紹介する本はめったにない。書物を一部の教養人だけのものにしないためにも、電子ブックに負けないためにも、やはりこの本のようにエンターテイメント性を追求しなければいけない…と思うんですが。



中沢弘光:画、「間貫一」(尾崎紅葉『縮刷金色夜叉春陽堂大正9年5月15日45版印刷)


紅葉は「全体小説に挿絵を入れるといふのは、分からない話で、何も画の力を借りる程なら、筆で以てそれだけの事をやって見せるのが我々小説家の伎倆だ、今は口絵がなければ買って呉れない世の中だから、仕方もないが、他日大に志を得たら、僕の小説には絵は入れない……」(「紅葉氏の新聞小説論」明治32年2月13日読売新聞月報付録)と、饗庭篁村に近い挿絵無要論者で、明治30年1月1日から連載が始まった「金色夜叉」は挿絵無しで始まった。