「さしゑ」創刊号(昭和30年)に「ベスト・テン──編集者をてこずらす作家と挿絵家── 但しクラブ雑誌界における十傑(回答五社)」という面白い記事が掲載されていたので再録してみよう。それぞれのトップは岩田専太郎と山手樹一郎だ。編集者を困らすわがままをいうのは、みずからが売れっ子であることを認めている証とも言える。つまり、人気作家と挿絵家のベスト・テンともいえるデータでもある。


この「さしゑ」を提供して頂いた濱野政雄さんは5位に選ばれている。昭和40年代には毎週7〜8紙誌の連載を抱えていたというから、その多忙ぶりからくる自意識もかなり過剰だったものと推察されるが、今度お会いしたときに、伺ってみよう。


只今好評発売中の日本出版美術家連盟「粋美挿画」で特集を組んだ99才でなおも活躍を続ける仲一弥さんは3位だ。三重県津市に引っ越してしまい、直接お会いするのは難しいが、どなたか、インタビューしてくれないかな。


この表をよくよく眺めてみると、岩田専太郎は日本出版美術家連盟初代理事長であり、このに掲載された挿絵家10名は全員が日本出版美術家連盟の会員でもある。当時の出版美術家連盟の盛況ぶりがこのベストテンからも知ることが出来る。


「ベスト・テン──編集者をてこずらす作家と挿絵家──」(「さしゑ」創刊号、昭和30年)