絵画専門の画家ではなかったが、その技術は当時の洋画を志望する青年たちを魅了するには充分だった。高橋由一、五姓田義松、二世五姓田芳柳、山本芳翠らが、教えを受けた。小林清親、下岡蓮杖、高橋源吉、田村宗立、渡辺幽香などもワーグマンについて教えを受けている。


ワーグマンは、横浜に定住し、日本人・小沢カネを娶り、一子をもうける。画報記者としての本業のかたわら、外国人旅行制限がなくなると、地方に足を伸ばし多くのスケッチを残す。「下仁田風景」(1870年)は、そんな時期に描かれたのであろう。



(明治3(1870)年10月制定の「外国人遊歩規定」によって、在留外国人は、原則として一定区域内(ほぼ現在の東京都の区域)に行動が制限されており、病気静養などやむを得ない理由以外は、その都度、外務省から旅行免状を受ける必要があった。明治8(1875)年12月7日、外国人は遊歩規定内において旅籠屋(はたごや)のみに泊まることができた。それが明治11(1878)年9月14日からは7日毎に役場へ届け出れば一般民家に泊まってもよいことになった。)



ワーグマン画「下仁田風景」(1870年)