ワーグマンは、横浜に定住し、日本人・小沢カネを娶り、一子をもうける。画報記者としての本業のかたわら、外国人旅行制限がなくなると、地方に足を伸ばし多くのスケッチを残す。「下仁田風景」(1870年)は、そんな時期に描かれたのであろう。
(明治3(1870)年10月制定の「外国人遊歩規定」によって、在留外国人は、原則として一定区域内(ほぼ現在の東京都の区域)に行動が制限されており、病気静養などやむを得ない理由以外は、その都度、外務省から旅行免状を受ける必要があった。明治8(1875)年12月7日、外国人は遊歩規定内において旅籠屋(はたごや)のみに泊まることができた。それが明治11(1878)年9月14日からは7日毎に役場へ届け出れば一般民家に泊まってもよいことになった。)
ワーグマン画「下仁田風景」(1870年)