この頃描いた水彩画が、日本で最初に描かれた水彩画ということになる。

ワーグマンは当日の体験を「IRN」に
「玄関を騒々しく繰り返し叩く音に目が覚めた。どこかに火事があるか、あるいはちょっとした喧嘩程度だろうと思っていたため、はじめはその騒音を気にとめなかったが、しばらくすると、戸を叩く音は、マスケット銃の発射ほどの大きさとなり、しかも足を引きずったりあたりを駆けまわったりする音が、私たちを完全にめざめさせた。


やがて拳銃を二発発射する音が聞こえ、オリファントとモリソンの両氏が血をしたたらせながら現れた。暗殺者たちはすでに家屋のなかにきていたが、モリソン氏以外は誰も手もとに拳銃をもっていなかった。


短い休止ののちにふたたび騒ぎが始まった。ガラスをこわしたり、木を折ったりする音が加わった。私たちは、オールコック氏の居室にいたが、暗殺者たちはすぐ隣の部屋に迫っていた。この時までには、私たちの銃も装填されていた。今やヤクニンたいちは賊党どもに攻撃をしかけ、大戦闘が、広い庭園内と、川に通ずる並木道の上で行われ、夜警たちも二本の拍子木を早めに打った。」(「イラストレイテッド・ロンドン・ニューズ」、金井円編訳『描かれた幕末明治』雄松堂書店、 昭48年)と、伝えた。