6P程の話に、一人のさし絵家が描いたものと思われるが、落款が3種あり、おまけに名前の特定が出来ないというパズルのような難問にぶつかってしまった。


『修養全集』第2巻(「東西感動美談集』、大日本雄弁会講談社昭和3年)に掲載されたもので岸井新「喪服の遺臣」の挿繪。タッチを見ると同一人物の挿繪であることは間違いないように思える。登場順に3つの挿繪を並べてみよう。





一番上の落款は解読不能です。
二番目の落款は「とち」ではないかと思える。隣の「Y」のような文字は不明。
三番目の落款は「Nagatoti」のように読める。


そして、これらの落款のさし絵家だと思われる名前は「永地秀太」しかない。よみかたは「ながち ひでた」であろう。目次に記されている30名のうち、活字で名前が記されているが落款が見当たらないのは、ほかには須藤しげる、金子士郎だけだ。