隔週刊『判例タイムズ』の表紙用オブジェ作りで悪戦苦闘


たまには私の日常生活を報告させてください。
いままで、自分の著書以外にはなかなか使ってもらうことが出来なかった、木片で作ったオブジェが隔週刊『判例タイムズ』に採用され、連日その製作に追われています。


昨年は『図書館の学校』という雑誌の表紙で1年契約で使ってもらえることになりましたが、第1回目を届けたら女性の担当者が突然「なにこれ、他にはないの。1点だけしか作ってないの、ふざけてるんんじゃない!」「見るのもいやなほど気持ち悪いんですけど……こんなの使える訳ないでしょ」。


その後、かなり長文のメールで「会社では全員が例外なく気持ち悪い、使えないといっています」「今回制作分のお金は払うから降りてくれない」などとさんざんな罵詈雑言をあびせられ、あえなく降板させられたという悲しい過去がありました。契約書はあるが契約不履行だ。オブジェを使った雑誌が書店に置かれている風景を夢にまで見ましたが、実現しませんでした。


その前年に、木片オブジェを使った装丁の『装丁探索』(ブログのヘッドにある本)が造本装丁コンクールで書籍出版協会賞を受賞しており、「図書館の学校」のために作ったオブジェも自信作だっただけに、かなりのショックを受けました。


そのとき制作したオブジェを今回『判例タイムズ』で見てもらったら、反応は全く逆で、「面白いので、これも使いましょうよ」ということになった。捨てる神あれば拾う神とは、まさにこのことかと思いました。一度はお蔵入りになってしまったオブジェだが、来年の5月頃には日の目を見ることができるようになりました。勿論、表紙のデザインも私がやっています。







もうすぐ創刊60年という超長寿の雑誌のリニューアルで、10月1日号からリニューアル第1号が刊行され、今は第4号まで印刷に入っている。専門書とは言え通巻第1246号は私の年齢とほぼ同じで驚異的といわざるを得ない雑誌です。


このスタイルのオブジェ作りはもう足掛け10年近く続けていますが、なかなか商業誌や単行本などで採用されることはありませんでした。顔に表情がなく喜怒哀楽の表現ができにくいことや、衣服を着ていないので「腰パン」のような衣装にまつわる表現もしづらく、かなり制限のある中で制作だ。いわば非常口のマークに使われている人物のマークように、服もないし表情もないのです。


取りあえず1年間に30個作らなければならず、朝駆け、夜更かし、休日返上で作っている。休日には奥多摩まで台座になる材木を買い出しに行ったり、茨城県の実家の山にある木を伐採したりして材料集めをしたりと、連日奮闘しています。制作工程を理解できる同業者の知人が、この表紙を見て「毎号これで新作をつくるんですか、贅沢な雑誌ですね」といってくれたのが嬉しかった。


制作の様子などを下記のブログに連日掲載していますのでご覧下さい。

http://blogs.yahoo.co.jp/higetotyonmage/

よろしくお願いいたします。