ある執筆者から直接、装丁の依頼があった。メールでマンガ風のイラストを2点送ってきて、「装丁について、愚生の希望は、添付の葉書のイメージのような、デザインを希望していますので、一つの参考にしていただけたら幸いです。」と記されていた。


著者の意向を組んだマンガ風の装丁案を作ったが、どうも私にはしっくり来ないので、素直に提出すれば良いものを独自の案も加えてプレゼンテーションした。時間が営業日2日しかないので、かつて制作したオブジェを撮影したものを利用した。オブジェ作りから始めていたら10日くらいかかってしまいそうなので。結果、私の提案したオブジェ案に決まった。



いくつか提出したマンガ風カンプ案



採用されたデザイン、森川宗弘『鞦韆の詩』(創英社・三省堂書店、2010.12年)


久々に、オブジェ(最近は立体イラストと呼んでいる)の作品が採用されたので、2月初旬発売予定の『MdNデザイナーズファイル2011』や3月発行予定の「粋美挿画」(日本出版美術家連盟)2号にも掲載させてもらうことにした。


本日、採用が決まったばかりで、まだ本が出来ていないというのに年鑑に載せてしまうというのは、なんという見事さ、グッド・タイミングでした。



2月初旬発売予定の『MdNデザイナーズファイル2011』レイアウト見本より



3月発行予定の「粋美挿画」(日本出版美術家連盟)2号、レイアウト校正より


ここまでは良かったが、「専門的なことはわかりませんので、とにかく『製本探索』が気に入っているので、すっかり真似してください。」と拙書『製本探索』に紙の質までそっくりにやって欲しいということなのだが、表紙に使っている紙をさんざん探してみたのだが、分からないのだ。私が指定した紙を編集者が変えていたような記憶がよみがえってきた。そう言えば、紙屋さんの女性から電話があったような……?



大貫伸樹『製本探索』(印刷学会出版部、2005年)
この本が今回の話のそもそもの始まり


こうなったら仕方がない。版元に頼んで教えてもらうか!
なに、当時の担当者はもう退職していない。こまった。
たしかあの時の女性は、平和紙業さんだったように記憶しているが……。この本をもって、平和紙業さんをたずねてみるか?