コラージュを用いた池田満寿夫の装丁

先週、新宿サブナード古書市で開催されていた「300円均一」セールで購入したのがこの池田満寿夫(1934-97年)装丁、石原慎太郎『嫌悪の狙撃者』(中央公論社、昭和53年)。池田が得意のコラージュを駆使しての装丁だ。この装丁はおそらくは今回写真で掲載したように見開き状態にして制作したように思える。オモテ表紙だけを眺めるよりはこうして広げて眺めたほうが絵としてまとまっているからだ。

この装丁は相当に気に入っている。「胸キュン本』は当然、ワンランク上の「頬スリ本」なのに、300円は申し訳ない、か〜なりお得な感じだ。現都知事が作家として活躍していた頃の本でもある。



私がコラージュに興味を持つようになったのは、池田満寿夫『コラージュ論』(白水社、1987[昭和62]年)を読んでからのことで、自らもやってみたいと思うようになったのも池田のおかげで、といってもいい。いわば私のコラージュの生みの親でもある。



版画家として尊敬しているのは当然のことだが、私生活では4度も結婚しておりその絶倫ぶりはうらやましいかぎりだ。それだけではなく、作家としても活躍し1977年には『エーゲ海に捧ぐ』(角川書店、1977年)で芥川賞を受賞している。この2足3足の草鞋を難なく履きこなす格好良さにもあこがれ、2足のわらじをはくのを私の人生の目標とするようになったのも池田へのあこがれからで、少しでも近づきたいと今でも願い続けている。とにかく滑舌が悪いこと以外は欠点までもがあばたもえくぼで長所に見えてきてしまい、全部隅から隅までかっこよく、心底あこがれの人だった。



池田の装丁については『池田満寿夫book work』(形象社、1978年)があるが、この本に『嫌悪の狙撃者』は記載されていない。コレクターにとっては為てやったりで、これも嬉しい事なのだ。



池田の装丁の中では一番気に入っている「みずゑ」のシリーズ表紙よりも、『嫌悪の狙撃者』のほうが素朴な感じがして好きだ。


横光利一「鳥」の装丁をやってみたい!!

「鳥」の装丁を私がやってみようと準備に取り掛かった。

新宿の金属ものの破片を売っている店で、アルミを購入した。
テキストはネットでダウンロードできた。

まずは本文をレイアウトして組み版をやれねば。
文庫本でもあれば作業はだいぶ楽になるのだが。

ラフスケッチも電車の中で数点描き少しずつイメージを固めている。
飛行機の機体をイメージしたジュラルミン(アルミ)と石を組み合わせて
三角関係をイメージしたものを作ろうと思っている。