池田満寿夫、自分の本の装丁について

「……自分の著書になると少々事情が異なる。本を一冊書き上げたあとに、装丁まで担当する気力がもてなかったことと、自分で装丁するよりは好きなデザイナーにやってもらう方が新鮮味が大きかったからである。デザイナーにとっては私の本の装丁は非常にやり難いらしい。私もまた装丁できるからであろう。」


「この場合、二通りの方法がある。完全にまかせてしまう時と、材料をこちらから提供してデザイン・レイアウトしてもらう時とである。前者は『池田満寿夫全版画集』(美術出版社)、『池田満寿夫20年の全貌』(美術出版社)等、後者は『私自身のアメリカ』(朝日新聞社)、『私の調書』(美術出版社)、『日付のある自画像』〈講談社)、『思考する魚』(番町書房)、等が代表的なものである。」

写真は上から
池田満寿夫装丁?『私の調書・私の技法』(美術出版社、1976年)、
 ※池田満寿夫装丁『私の調書』を流用している。
・遠山八郎装丁『日付のある自画像』(講談社、昭和52年)
勝井三雄装丁『複眼の思考』(白水社、1980年)
横尾忠則装丁『池田満寿夫横尾忠則対談 反美的生活のすすめ』(河出書房新社、昭和52年)








「デザイナーでは勝井三雄が圧倒的に多い。彼とは日本橋画廊当時のカタログのデザイン以降、十五年来のつき合いで、最も気心が知れているので、やり易いし、最も信頼出来るからである。」〈池田満寿夫BOOK WORK)
と、自分の本の装丁を自分でやるのはけだるいし、他人にやってもらったら新鮮だったというのが自分で自分の本を装丁しない理由のようだが、それだけではなく、池田本人が感じているよりは勝井が装丁した池田の本は池田の自著自装に比べてはるかに優れているように思える。