恩地の戦後の装丁作品

恩地の戦後の作品は、戦前に比べるとどこか気の抜けたような装丁が多いが、そんな中、この装丁はかなりの力作の方である。終戦の年、恩地の年齢は53才だから、この本を装丁したときは、60才だ。年齢のせいだけではなく、敗戦後の物理的環境の悪化や次男の戦死などの精神的なショックが大きかったのではないだろうか。