2006-03-28から1日間の記事一覧

恩地の戦後の装丁作品

恩地の戦後の作品は、戦前に比べるとどこか気の抜けたような装丁が多いが、そんな中、この装丁はかなりの力作の方である。終戦の年、恩地の年齢は53才だから、この本を装丁したときは、60才だ。年齢のせいだけではなく、敗戦後の物理的環境の悪化や次男の戦…

振替口座のないネット古書店に意見する

架蔵書は、かなり日焼けしており、しみもついていてあまりいい保存状態とはいえないが、これでも2330円も払った。書店名は公表しないが、ネットの古本屋は普通預金口座ではなく振替口座くらい開設しろ、といいたい。宅配便を使うならメール便を契約しろ、と…

一幅の版画作品である 

バックの濃い色のところにもうっすらと模様が入っている。このうすい模様と真ん中の白、青、黄土の色が作り出すコントラストが、強烈なインパクトを生み出している。私としては、強い部分が真ん中に集中してムーブマンに欠けるように思え、ちょっと気に入ら…

さすがは版画家・恩地孝四郎

野田宇太郎『新東京文学散歩』(日本読売新聞、昭和26年)は、木版画家ならではの発想が活かされたうまい装丁だ。真ん中に三菱が丸く太ったような図案を彫り、この一つの版を黄土色で刷り、そのあとに版を180度回転させ、今度は色を変えて青で刷り重ねてある…