おおば比呂司のキャラ解剖

shinju-oonuki2005-11-28

 
おおば比呂司装丁、荻昌弘『快談快食 味のふるさと』(日本交通公社、昭和53年)のジャケットには、8人の調理人の絵が描かれているので、この絵からおおばの人物画の特徴を探してみよう。 
 
顔は、面長が多く、軒並み下膨れである。鼻もユーモラスなくらいに大きい。プロポーションは4頭身から5頭身でやや頭でっかちではあるが、極端にデフォルメされているわけではない。このくらいのプロポーションの人は、おおだと同年代なら普通だったようなきもする。ちなみにおおばは、1921(大正10)年、札幌に生まれである。
 
それに比べて、左端に入れた、おおば比呂司自著自装『地球はまあるい』(東京堂書店、昭和49年)の箱に描かれたおおばの自画像はほぼ2頭身で、ウォルト・ディズニーの動物のキャラクターなどに使われているプロポーションと同じである。キャラクターの表情を表現するには、2頭身はキャラクターの表情表現のために考えに考えられたプロポーションなのだ。
 
1960(昭和35年)のころは、テレビが一般家庭に普及し始めた頃で、アメリカのアニメーションが毎日のように放映されていた。これは私の推測でしかないが、おおばの絵の動きの表現や顔のつくり、プロポーションなどなどは、これ等のアニメーションの要素を大分取り入れているのではないかと推察する。
 
1945(昭和20)年に北海道新聞図案科に入社。1958(昭和33)年に、上京して、フリーの創作活動を始める。折からの週刊誌プームにのり斯界の寵児となる。昭和30年代というと既におおばの画風は決まってしまっていたのだろうか。その辺のところもこれから探ってみよう。