【新蕎麦が出回るというこの時期に、ソバの花が満開でした!】…市内の植物探索(10)

【新蕎麦が出回るというこの時期に、ソバの花が満開でした!】…市内の植物探索(10)
 西東京市北原町あたりを散歩をしていると、畑でもないところにたくさんのソバの花が咲いていました。誰かが種を蒔いたのだろうか? それにしてもソバの花は8月頃に咲き、今頃は収穫の時期で、新ソバが美味しい時期の筈ですが、猛暑の影響でソバも開花時期を誤ってしまったのだろうか?
 ソバはタデ科ソバ属の一年草タデ科には800種類もの植物が属していますが、ほとんどが雑草で、食用として栽培されている蕎麦は珍しい植物のようです。原産地は中国西南部で、日本には縄文時代に渡来しました。日本での栽培の歴史は稲作よりもはるかに古く、9300年前の高知県の遺跡からソバの花粉が、3000年前の埼玉県の遺跡から種子が見つかっています。
 そばは日本古来の伝統食というイメージですが、ざるそばやかけそばのような麺の形状、いわゆる「そば切り」となった歴史は意外に浅く、江戸時代の少し前から。鎌倉時代に石臼が伝わり、硬いソバの実を粉にひけるようになるまでは、そのまま茹でて粥として食べていたようです。そば粉を練って焼いたり茹でたりする「蕎麦掻き」の普及によって、そば食は浸透。さらに16世紀末には麺にして食べる「蕎麦切り」の料理法も開発され、江戸の町にはそば文化が花開きました。
 世界の生産量ランキングはロシア、中国、ウクライナアメリカ、ブラジルの順で、日本は6位。食べ方はロシアやウクライナのカーシャのように、脱穀してお粥にするのが一般的。フランスでは小麦粉を使ったクレープに対して、そば粉を焼いたものをガレットと呼びます。
 ソバは成長が早く、種をまいておよそ30日で、茎の先に花径5~6mmの小さな白やピンクの花たくさんつけます。5枚の花びらのように見えるのは実は萼片(がくへん)と呼ばれる葉が変化したものです。めしべが1本、おしべが8本ありますが、めしべが長くておしべが短い「長柱花」、おしべが長くてめしべが短い「短柱花」の2種類の花が半分ずつ混じっています。雄花と雌花のようでもありますが、ソバの場合はどちらの花も結実します。ただし、自家不和合性といって、長柱花には短柱花の花粉が、短柱花には長柱花の花粉が付かないと実が成りません。ちょっと珍しい生態の作物です。
 
 
西東京市北原町1丁目で2023.10.31に撮影した蕎麦の花

 
西東京市北原町1丁目で2023.11.14に撮影

 
西東京市北原町1丁目で2023.11.14に撮影、近づいてみると、まだ青いが実をつけていました。

 

 

石神井川の川床にもソバの花が咲いていました。望遠で撮影しましたが、これ以上近づくことはできず、大きくならないので、よく見えませんが、ソバの花だと思います。