美しいピンクの大輪の花を咲かせるフヨウは、夏を代表する花木として親しまれています。西東京市市内でも野生化して道端に咲いているのを見かけることがあります。
フヨウの花は枝の葉腋に単生し、径10cm〜15cm程の5花弁でやや螺旋状に生じます。花色は白や淡紅色で、先端が円筒状に散開する雄しべは根元で筒状に癒合して、その中心部から雌しべが延びて突き出し、5裂します。朝に花が開き、夕方にしぼむ「一日花」ですが、一輪の花がすぐに萎んでも、木全体では次々に花が開花するので、夏から秋まで比較的長い期間楽しめます。冬前に落葉して越冬します。果実は蒴果で、毛に覆われて多数の種子をつけた姿は風情があり、立ち枯れた状態は枯芙蓉と呼ばれ冬の季語となっています。
フヨウ(芙蓉、Hibiscus mutabilis)は、アオイ科フヨウ属の落葉低木。種小名 mutabilisは「変化しやすい」という意味です。フヨウという名前は中国名に由来しますが、漢字の「芙蓉」は中国では「ハス(蓮)」を指しますので、日本ではフヨウを「木芙蓉(モクフヨウ)」とも呼び区別しています。日本の南部では野生化していますが、もともとは中国原産であると推測されています。また、室町時代に観賞されていた記録があることから、古くから栽培されていたことがわかります。
古来からフヨウ(芙蓉)の花の優しい花姿は、しとやかで美しい女性の例えに用いられ、花言葉の「繊細な美」「しとやかな恋人」はそのことにちなんでいます。また、美しくしとやかな顔立ちのことを「芙蓉の顔」といいます。