木槿(むくげ)は、梅雨のころから咲き始め、夏の間中、大輪で華やかな花をたくさんつけるアオイ科の落葉低木です。ふつうは一重咲きですが、半八重や八重咲きの品種、乱れ咲きまであります。白の一重花に中心が赤い底紅種は、千宗旦が好んだことから「宗丹木槿(そうたんむくげ)」とも呼ばれます。
木は3mほどまで生長します。ハイビスカスを始めフヨウ属は耐寒性が弱いものが多い中、ムクゲは耐寒性が強く、非常に強健で刈り込みにも耐えることから道路脇の街路樹として利用されることもあります。冬は落葉して越冬します。
日本へは古く渡来し、平安時代初期にはすで植えられていたと考えられており、暖地では野生化しているようです。
「槿花一日の栄(きんかいちじつのえい)」と言ったことわざがありますが、これはムクゲの花が1日でしぼんでしまうことを栄華のはかなさに掛けた言葉です。ただ、本物のムクゲの花は一日花で、朝に開花して夕方にはしぼんでしますが、次々に咲くので秋まで楽しむことができる開花期間の非常に長い花木です。
原産地は中国ともいわれていますが、実ははっきりわからないようです。さらに学名のsyriacusはシリアを意味していますが、シリアでは野生のものは発見されていないようです。