ネットで購入したドルジュレス『戦争の溜息」(新潮社、昭和6年)写真上が届いた。山名文夫装丁本というので購入したのだが、どこにも山名文夫の名前が記されていない。それどころか表紙中央下の部分に「R」の鏡文字のようなサインのようなものを見つけた。
ドルジェレス『戦争の溜息』(新潮社、昭和6年)函と本
サインは普通、名前のアルファベットのイニシャルを使うことが多いが「AyaoYamana」には「R」はない。
そもそも、なぜこの本が山名文夫の装丁本だと思ったのかというと、目黒美術館で開催された「山名文夫展」の図録『YamanaAyao』(目黒美術館、1998年)写真下中の「山名文夫 装幀本」(写真下右)にこの本ドルジェレス『戦争の溜息』が掲載されていたからだ。
『YamanaAyao』(目黒美術館、1998年)
『YamanaAyao』にドルジェレス『戦争の溜息』が掲載されているページ。
まさか美術館の図録に間違いなどあるはずがないと思うのだが、この本が山名文夫装幀本だということどうやって確認したのだろうか?
ついでに言わせていただくと、「山名文夫展」の図録『YamanaAyao』(目黒美術館、1998年)の本文紙が仙華紙のような質の悪いザラ紙が使われていて、おまけに線画の図版に網が入っているので、せっかくの挿絵などがはっきり見えない。戦後のイメージでも出そうとしたのだろうか、書物の役割を果たしていない悪い冗談だ。
この「R」の鏡文字と思っていたサインが、「Ayao」の「A」だっだとしたら、一気に疑問は解決するのだが…。