「学生にはみせません!」、『秘巻肉筆浮世絵』(芳賀書店)

【捨てられない本】学生時代に杉浦康平さんの事務所でアルバイトをしていたときに、この本の色校正が出てきて、「ぼかしの面積が大きすぎるのでは?」等と話し合っていましたが、奥さんが「学生にはみせません!」といって私は見せてもらえなかった『秘巻肉筆浮世絵』(芳賀書店、昭和48年)。今ではこの手の本はぼかしなしで販売されているが、社会人になってから気になって購入した本。
 函貼りに楮生漉(こうぞきずき)を使っているため印刷が困難だったのだろうか、赤い貼り題簽になっているのがなんとも色っぽい。フリーのデザイナーになってからも紙や布の選択など造本について何度も参考にさせてもらったきわめつきの愛着本だ。