百貨店美術部や日本画商が開催した展観「市井展の全貌」

分厚くて大型の「市井展の全貌」(A4 判・上製本函入り・540 頁)の続編が出ることになり、布や紙の選択をしている。「市井展」とは、百貨店美術部や日本画商(新画商)が開催した展観のことで、平たく言えば三越高島屋など美術館以外で開催された美術展のこと。
 4千点に及ぶ画像のスキャンも頼まれたが、「我が社では無理です」と従業員に反対され、やむなく、この値段でならやってもいいという高い見積もりを出し、「アイミツ」に敗れ、装丁だけをすることになったた経緯がある。経営者としては未練が残る思いでがある本だ。


 見返しや表紙の貼り題簽は、ディープマット、アッシュ、135kgという装丁ではあまり使うことがなかった色ボードを採用。別丁扉は星物語という綺羅がはいっているおしゃれな紙。布はアサヒ・オーロラ/2395という右端に写っている青い紬のような布。函はハイチェック、象牙という壁紙のような手触りのある紙で、地の色はDIC-432(渋い青)で表紙の色にあわせてみた。