ドイツの女流反戦画家を宮本百合子が「アトリエ」に紹介した

これだけ本を処分しているのだから、もう本を買わないのではないかとお思いの御仁もいるのでは? あに図らんや、今日も「ATELIER」(アトリエ社、昭和16年3月、写真❶)、『宮本百合子全集第14巻』(新日本出版社、昭和54年、写真❷)が届いた。
写真❶


写真❷


 昨年の講演会で、新聞連載小説、徳田秋声「縮図」の挿絵は、ケーテ・コルビッツというドイツの女流反戦画家を宮本百合子が美術雑誌「アトリエ」に紹介した記事(写真❸❹❺)の影響を受けていたのではないかという内容だったが、「アトリエ」を探せなかった。
 挿絵画家・内田巖は「縮図」が検閲を受ける数回前から、挿絵のタッチをケーテ・コルビッツ風の描き方に突然変化する(写真❻❼❽)。それが検閲の切掛だったのではないかという話だが、肝心の資料がなかった。
写真❸
ケーテ・コルヴィッツ「子を抱く女」1910頃


写真❹

ケーテ・コルビッツ画「アトリエ」昭和16年3月号より


写真❺

ケーテ・コルビッツ画「アトリエ」昭和16年3月号より


写真❻

内田巖:画、徳田秋声『縮図』第78回挿絵(都新聞、昭和16年9月13日


写真❼

内田巖:画、徳田秋声「縮図」第18回挿絵(都新聞、昭和16年7月15日)


写真❽

内田巖:画、徳田秋声「縮図」第35回挿絵、都新聞昭和16年8月1日


 その宮本百合子「ケーテ・コルビッツの画業」を掲載した「アトリエ」をみつけたのだから、買わざるを得ないでしょう。再度「縮図」の講演依頼が来るわけではないが、これで胸のわだかまりがおさまった。


●ケーテ・コルビッツ展が、小淵沢のフィリア美術館で開催されています。
http://www.philia-museum.jp/blog/2014/0731/1815.html