紀行文『おくのほそ道』で知られる江戸時代前期の俳諧師・松尾芭蕉は、深川の自宅の庭にあったバショウから自分の名前を芭蕉としたらしいから、バショウは外来種といえども大分昔から、東京辺りでも栽培されていたようだ。
写真は散歩中に見つけたバショウだが、みればみるほど上の方にある緑色の小さな実が数日後には黄色に膨らんで、美味しいバナナが食べられそうだが……、バショウとバナナは違うらしい。
写真下は、大胆なタッチでバショウを描いた、川端龍子:装幀、川端信一『定本川端茅舎句集』(養徳舎、昭和21年)。
筆の勢いから、バショウの外来種特有の伸び伸びしたおおらかさや、ひと夏で3m程に伸びる勢いのよさを感じる。植物の生命力までをも描ききっているようで、気持がいい、なんて見事な絵だ。
「ホトトギス」の俳人川端茅舍(ぼうしゃ)は龍子の弟(異母弟)であり、龍子も「ホトトギス」同人。