武井武雄が描いたカルピスの広告

大阪松竹座で上演された『桃太郎海の神兵』というアニメを見て感動したことが、手塚治虫がアニメを作る切掛けとなった話はよく知られている。この『桃太郎海の神兵』(松竹動画研究所、1944年完成1945年4月12日公開)は、隊長桃太郎が猿と犬とキジの部隊を指揮して、鬼ヶ島(鬼畜米英)を撃破するというストーリーで、「桃太郎」を応用したプロパガンダ映画だ。このように「桃太郎」は様々な場面で利用されることが多かったが、なぜか「金太郎」が広告などに応用されることは少ない。そんな「金太郎」の珍しい新聞広告を見つけた。武井武雄が描いた“初恋の味”をキャッチフレーズにするカルピスの広告(東京朝日新聞昭和4年4月30日)だ。 “初恋の味”では大人の飲み物のような印象があるので、子どもにも飲用してもらうためのに金太郎を登場させたのだろう。

武井武雄:画、「カルピスの広告」(東京朝日新聞昭和4年4月30日)