『明治・大正・昭和・挿絵文化展記念図録』

「粋美挿画」3号の巻頭特集「挿絵画家・石井鶴三」の話を書き始めたのだが、高価な本なのでなかなか買えずにいた不破瑳磨太編『明治・大正・昭和・挿絵文化展記念図録』( 日本電報通信社、昭和16年)をとうとう注文してしまった。石井鶴三の「挿絵寸感」という講演録が記載されており、文学作品と挿絵の関係は義太夫における太夫と三味線引きにようなもので、いずれが主、いずれが従とはいえない。いずれも独立した作であり、それが組合って独自な一境地を拓いてゆくものだ。という鶴三の挿絵芸術論ともいうべき主張が体験の裏付けをもって述べられている。

不破瑳磨太編『明治・大正・昭和・挿絵文化展記念図録』( 日本電報通信社、昭和16年)