堂昌一さんの突然の訃報で、「粋美挿画展」のポスターに使う予定だった堂昌一:画、長谷川伸「股旅新八景」(「光文社時代小説文庫」昭和62年10月)の原画を入手出来ないまま、ポスターの締切りが来てしまった。夕方6時ころに「明日ポスターのデータが欲しいんですが大丈夫でしょうか?」との連絡が入り、何も用意していないので大慌て。堂さんの分は画集から選ぶことにした。この絵は光文社時代小説文庫、長谷川伸「股旅新八景」(昭和32年)で使われたものだが、原画だけではなく、この32年版も手元にはないが、30年後に刊行された62


「縞(しま)の合羽(かっぱ)に三度笠、軒下三寸借り受けての仁義旅……『股旅者も、武士も、町人も、姿こそ違え、同じ血を打っている人間であることに変りはない』。義理と人情のしがらみ、法の外に打ち捨てられた渡世人の意地と哀愁にそそぐ温かいまなざし。庶民派作家の真骨頂がここにある。」(出版社/著者からの内容紹介)と、堂の生涯と何処か重なる股旅物は堂の代表的作品と思われる絵が多く、是非ポスターに使いたかった。19日に堂前家を訪問して、この絵が借りられない場合は、ポスターの絵が会場にはない、ということになってしまう。その時は、気がついてしまった人に誤るしかない。



堂昌一:画、長谷川伸「股旅新八景」(「光文社文庫」昭和62年10月)



「粋美挿画展」ポスター修正前
大慌てで作ったこのポスターに理事会で理事長からクレームがついた。「一番下の会長の作品の顔の部分に文字がかかっているのは失礼ではないか……」とのことだ。会長の隣に座っていながら、よくもこんなくすぐったいよいしょ言葉を恥ずかしげもなく会議ではけるものだ。腹の中が見え見えで、聞いているほうが恥ずかしくなる。
反発するだけではしこりが残るので、一応は理事長の意見に敬意を表して下記のようにほんの少しだが、修正をした。



「粋美挿画展」ポスター修正後
全体に絵が小振りになってしまい、弱くなってしまったのは否めない。理事長さん! 口先だけでなく来年はあんたが作ってみてはいかがですか? きっといいものが出来ると思いますので。