昭和46年7月に発表された第5作「水神祭に死を呼んだ」には「渡世人の両頬は、病後のように削げ落ちていた。長旅を続けているにしては、顔の色が青白かった。何を考えているのか、わからないような目をしている。妙に冷たく沈んでいる眼差しだった。虚無的な翳りが、そのほりの深い顔立ちに凄味を漂わせていた。……空を見上げた渡世人の左の頬に、刀の傷跡が残っていた。小さな傷跡だし、かなり古いものだった。その両端が引き攣っているのも、さして気にはならなかった」と更に詳しく書かれている。
小林秀美;画、笹沢佐保「木枯し紋次郎/念仏は五度まで」(「小説現代」講談社、昭和50年7月号)
堂昌一:画、笹沢佐保「木枯し紋次郎」(小説現代・河北新報、1975)