夏コミケ(コミックマーケット78)に行ってきた。コミケは世界最大の同人誌即売会でサークル参加者数は3万5000スペース(ブース)、屋内で行われるイベントとしても世界最大級である。さまざまな同人愛好家達が集い、自作の物品を展示、頒布する。漫画・アニメ・ゲーム以外の大衆音楽・アイドルグループのファン同人誌、ゴスロリ服やコスプレ衣装、手作りアクセサリー、同人ハードウェア、人形作家による人形、フィギュア、教師・看護師・航空機パイロット・鉄道員等の一般に知られない職業従事者の日常が描かれたもの、またカメラ、ペット・


ツイッターやブログがそうであるように、受け身ではなく、自己表出(表現)したい人たちがこんなにも溢れている。印刷物による出版のハードルが低くなり、誰でもが出版社などを通さずに、安く自由に本を作れるようになり、販売の場さえもが用意されてきた。



コミケ2010.8
12:30に国際展示会場正面駅についたが、すでに会場に向かう人より、帰路につく人のほうが多かった。


コミケ2010.8
会場へ向かう途中の通路も、すでに帰路につくひとであふれている。



コミケ2010.8
それでも会場に入ると、どこから集まったのかと驚くほどに人がいた。ブースの数もすごい。これは東地区の東6部分だが、外に西地区や屋上のコスプレなどもある。入場者数56万人(コミケ76)というのは、大井競馬の競馬開催日の1日の平均入場者数は約75,000人前後。東京ドームの球団主催試合での最多観客数は2008年(平成20年)10月25日・巨人対中日戦の46,797人。これ等の数字と比較してみると、56万人という数字が如何に大きな数字であるかがお判りかと思う。

ちなみに明治神宮の正月三が日初詣参拝客数は319万人、成田山は298万人。さすがにオー・マイ・ゴットだ。



コミケ2010.8
コスプレを楽しみながらの売り子さんも沢山いた。
コミックマーケット公式の調査によると参加者の中心層は中学生(主に兄弟の影響)から30代ぐらいまでで、下は保護者同伴の未就学児から上は70歳代後半の参加者もいる。一般参加者の男女比については2008年2月に準備会が公開した資料「コミックマーケットとは何か?」によると女性57%、男性43%である。サークル参加者に関しては同資料によれば女性71%、男性29%であり準備会は「世の中の認識とは異なり、女性の参加者が多い」と結論づけている。



コミケ2010.8
1:00にはすでに完売となって、閉店しているブースもあった。これ見よがしに空になった段ボールを机の上に積み重ねている。エロカワがもてているようだ。



コミケ2010.8
壁面にポスターが貼ってあるが、壁面にそって並んでいるブースの多くは、通称「壁」と呼ばれるレギュラー出店の人気のあるブースだと言う。


コミケ2010.8 壁面のポスター
コミケの初期には柴門ふみいしいひさいち高橋留美子などがアマチュア作家として参加していた時代があり、アマチュアからプロへという流れがあった。


コミケ2010.8 壁面のポスター



コミケ2010.8 壁面のポスター



コミケ2010.8 壁面のポスター



コミケ2010.8 壁面のポスター



コミケ2010.8 壁面のポスター



コミケ2010.8の帰路、モノレールからレインボーブリッチを撮影しながら、考えた。
出版不況などと言われている今日だが、1日で数千万円を売り上げてしまう強者がいるというコミケ。直接販売なので利益率も高い。夏冬2回開催されコミケの総売り上げは不明というが、これは流通を通さないがれっきとした出版である。アマゾンも出版流通の売上には計上されていないという。


既存の出版流通は確かに右肩下がりなのであろう。しかし、出版という定義その物が旧態然とした出版流通システムのある特定の流通の世界の話で、紙に印刷した全ての書物を対象にした出版流通全体の話ではないのではないかと、コミケを見学して感じた。古い流通システムの崩壊とともに、新たな流通の萌芽が紙の書物だけを見ても感じられた。


電子出版にばかり踊らされている出版流通業界だが、自慢できるデータは「返本率40%高止まり」だけでは、あらたな紙の書籍の出版流通界からも三行半を突きつけられているのではないだろうか。