堂昌一氏をご存知ないかたも、もしかして「木枯紋次郎」(「小説現代」昭和46年)の挿絵画家といえば思い浮かべてくれる人もいるのではないでしょうか? この本は紋次郎ではないが、縞の合羽に三度笠、弓懸け(手っ甲)、脚絆にわらじ履きの股旅姿が紋次郎によく似ていて、1972(昭和47)年に放映開始された中村敦夫の紋次郎を彷彿させ、テレビで観ていた頃の感動がよみがえってきた。長い楊枝を口にくわえるのが流行になり、この時ばかりは、おっさんが楊枝をくわえて歩いてもひんしゅくをかうことがなかった。
ドウです!この構図の見事さ、大胆な動き、妖艶な女性いずれを取っても専太郎といい勝負をしている。活版印刷や新聞などのざらざらした紙に印刷しても、グレーなどの中間調を表現出来るように、鉛筆とペンを組み合わせて使っているのだろか。堂氏にお会い出来たら是非うかがってみることにしよう。勢いのあるタッチが、伊太郎の威勢の良さをも引き出しているようだ。
堂昌一:装画・挿絵、笹沢佐保『潮来の伊太郎 大利根の闇に消えた』(読売新聞、昭和48年)
堂昌一:装画・挿絵、笹沢佐保『潮来の伊太郎 大利根の闇に消えた』(読売新聞、昭和48年)
堂昌一:装画・挿絵、笹沢佐保『潮来の伊太郎 大利根の闇に消えた』(読売新聞、昭和48年)
堂昌一:装画・挿絵、笹沢佐保『潮来の伊太郎 大利根の闇に消えた』(読売新聞、昭和48年)