「さしゑ」創刊号(挿美会、昭和30年4月1日、非売品)、「さしゑ」2号(昭和30年8月20日、定価150円)
「さしゑ」3号(昭和31年2月20日)、「さしゑ」4号(昭和31年6月20日)
「さしゑ」11月号(昭和31年10月1日)、この本だけが月号表示になっており、第二巻第五号で、通巻5号ということになる。
季刊誌「さしゑ」創刊号の奥付を見ると、発行所・挿美会 世田谷区松原町電話32-5558、発行人・成瀬一富、編集人・高橋加寿男、非売品、とあり、成瀬一富、高橋加寿男等が中心になって編集発行していたようだ。高橋加寿男は「講談倶楽部」の編集者というから、実際にこれだけの高いレベルの密度のある編集を同人誌でできたというのは、高橋に負うところが大きかったのではないかと思う。
季刊誌「さしゑ」創刊号の奥付
最終頁には「挿美会同人」として、
伊勢田邦彦、
濱野政雄、
加藤敏郎、
土端一美、
成瀬一富、
上西憲康、
岡本爽太、
山田彬弘、
谷田貝寿広、
由谷敏明、
下高原健二、
平野林作、
森下和男
の13名が列記されており、『大衆の心に生きた昭和の画家たち』ではわからなかった同人全員の名前が判った。
季刊誌「さしゑ」創刊号110p、「寄稿者名簿」「挿美会同人」
『大衆の心に生きた昭和の画家たち』によると、昭和30年5月2日「さしゑ」創刊記念祝賀会が東京美術倶楽部で盛大に挙行され、岩田専太郎の挨拶があり、田代光、今村恒美、田中比左良、鴨下晃湖のほか作家の吉川英治、江戸川乱歩、小島政二郎、城昌幸らが出席していたというから、何とも豪華な顔ぶれだ。
今回、「さしゑ」を持ってきてくれた濱野彰親さんは、若い頃は濱野政雄という本名で描いていたそうで、「さしゑ」の出版にもかかわっていたという。まさにここに記されている濱野さんが隣の席にいるのだ。濱野さんは現在86歳だが、カクシャクとしていたって元気だ。
昨夜はタイムスリップして歴史上の人物に直接出会った様な感激を味わった。
5冊の「さしゑ」を順次紹介しようと思っているが、返却日が6月27日となっており、どこまで紹介できるかわかりませんが、楽しみにしてください。「さしゑ」に参加していた頃の話を何かに書いてもらえると、資料性も高く面白いのだが……。